歴史修正主義の蔓延に終止符を『否定と肯定』

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ミック・ジャクソン監督作品。ホロコーストの真実を探求するユダヤ人の女性歴史学者デボラ・リップシュタットと、イギリスの歴史作家で、ホロコーストはなかったとする否定論者のデイビット・アーヴィングが、2000年ロンドン法廷で対決した実話に基づく作品。

 

ユダヤ人女性であり、学者にしては若く、しかも美しいリップシュタット。

そんな彼女を見下したようなアーヴィングの視線は、あまりにも既視感に溢れていた。

 

作中、判決が出た後の記者会見でリップシュタットが述べたように、

明らかな歴史修正主義、否定論に対しては、そもそもまともに取り合わず、毅然とした態度を取ることが重要だ。

 

ホロコースト否定論者の姿は、日本における従軍「慰安婦」問題や南京事件の否定論者の姿と重なる。

 

昨今、日本のメディアは「中立」の立場を装い、どのような問題についても両論併記的な表現にとどまることが多い。

明らかに間違っていることに対し、はっきりと否定することが今求められているのではないか。

 

また、多くの人が指摘しているが、「否定」することが要の本作の邦題が「否定と肯定」と両論併記になってしまっているのは本末転倒…。 

 

 

イギリスの司法制度にはびっくりだが、本作は法廷ドラマとしても面白い作品だと思う。

★★★☆☆