映画

思春期を描いたフェミニズム・ホラー2選『ぼくのエリ 200歳の少女』『RAW 少女のめざめ』

最近思春期を描いたホラー映画を『ぼくのエリ 200歳の少女』『RAW 少女のめざめ』と立て続けに観た。 ホラー映画は基本的に苦手で、観始めても途中でギブアップしてしまうことがほとんどなのだが、この2本についてはなぜか怖いと思わず、最後までじっくりと…

脱北者の闘いは続く『ファイター、北からの挑戦者』

韓国・ソウルで新たな人生をスタートさせた北朝鮮からの脱北者の女性がボクシングと出会い、生きる希望と勇気を取り戻す姿を描いたドラマ。ソウルの小さなアパートにたどり着いた脱北者のリ・ジナ。残してきた父を呼び寄せるため多くのお金を稼ぎたい彼女は…

子どもの純粋さと残酷さに胸を引き裂かれる――セリーヌ・シアマ監督『トムボーイ』

観終わってまず最初の感想:胸が痛い。。 2019年・第72回カンヌ国際映画祭で脚本賞を受賞するなど高い評価を受けた「燃ゆる女の肖像」のセリーヌ・シアマ監督が、2011年に手がけた長編第2作。引っ越し先の土地で新たに知り合った友人たちとの間で男の子とし…

息を呑むほど美しい映画『モロッコ、彼女たちの朝』

地中海に面する北アフリカの「魅惑の国」モロッコから、小さな宝石のような映画が届いた。カサブランカのメディナ(旧市街)で、女手ひとつでパン屋を営むアブラと、その扉をノックした未婚の妊婦サミア。孤独を抱えていたふたりだったが、丁寧に捏ね紡ぐパン…

歴史修正主義の蔓延に終止符を『否定と肯定』

ミック・ジャクソン監督作品。ホロコーストの真実を探求するユダヤ人の女性歴史学者デボラ・リップシュタットと、イギリスの歴史作家で、ホロコーストはなかったとする否定論者のデイビット・アーヴィングが、2000年ロンドン法廷で対決した実話に基づく作品…

「良妻賢母」神話を歌って吹き飛ばす『5月の花嫁学校』

フランスを代表するオスカー女優ジュリエット・ビノシュ主演、「ルージュの手紙」のマルタン・プロボ監督によるコメディ。1967年。フランスのアルザス地方にある花嫁学校、ヴァン・デル・ベック家政学校には今年も18人の少女たちが入学してきた。経営者であ…

エリザ・ヒットマン監督『17歳の瞳に映る世界』

新鋭女性監督エリザ・ヒットマンが少女たちの勇敢な旅路を描き、第70回ベルリン国際映画祭銀熊賞(審査員グランプリ)受賞したドラマ。友達も少なく、目立たない17歳の高校生のオータムは、ある日妊娠していたことを知る。彼女の住むペンシルベニアでは未成…

辛くても向き合うべき現実『ジェニーの記憶』

ドキュメンタリー監督ジェニファー・フォックスが劇映画のメガホンを取り、自身の体験をもとに性的虐待の問題に迫ったドラマ。ドキュメンタリー監督として活躍するジェニーのもとに、離れて暮らす母親から電話が掛かってくる。母親はジェニーの子ども時代の…

エメラルド・フェネル監督『プロミシングヤングウーマン』

2020年公開、日本では2021年7月16日公開。 監督は、俳優、小説家とマルチに活躍する弱冠36歳のエメラルド・フェネルであり、本作が監督デビュー作である。 主演はキャリー・マリガン。 その他、コメディアンのボー・バーナム、『オレンジ・イズ・ニュー・ブ…

『恐怖のセンセイ』「男らしさ」のばかばかしさをシュールに描き出す

『恐怖のセンセイ』(原題:The Art of Self-Defense)は2019年に公開されたアメリカ合衆国のサスペンスコメディである。監督はライリー・スターンズ、主演はジェシー・アイゼンバーグが務めた。 wikipediaより(恐怖のセンセイ - Wikipedia) 日本では劇場…