2021-09-01から1ヶ月間の記事一覧

子どもの純粋さと残酷さに胸を引き裂かれる――セリーヌ・シアマ監督『トムボーイ』

観終わってまず最初の感想:胸が痛い。。 2019年・第72回カンヌ国際映画祭で脚本賞を受賞するなど高い評価を受けた「燃ゆる女の肖像」のセリーヌ・シアマ監督が、2011年に手がけた長編第2作。引っ越し先の土地で新たに知り合った友人たちとの間で男の子とし…

【読書記録】8月&9月読んだ本

もう9月も終わりに近づいているが、今年の夏は、例年通り暑いかと思えば急に雨が降り出したり気温が上下したりして、いわゆる夏っぽい日が少なかったように思う。 もともとインドアな私は、不安定な気候の中ますます外に出る気を失い、基本的に家に引きこも…

息を呑むほど美しい映画『モロッコ、彼女たちの朝』

地中海に面する北アフリカの「魅惑の国」モロッコから、小さな宝石のような映画が届いた。カサブランカのメディナ(旧市街)で、女手ひとつでパン屋を営むアブラと、その扉をノックした未婚の妊婦サミア。孤独を抱えていたふたりだったが、丁寧に捏ね紡ぐパン…

女女の最高エッセイ『女ふたり、暮らしています』

単なるルームメイトでも、恋人同士でもない。一人暮らしに孤独や不安を感じはじめたふたりは、尊敬できて気の合う相手を人生の「パートナー」に選んだ−。女ふたりと猫4匹の愉快な生活を綴る。 シングルでも結婚でもない、 女2猫4の愉快な生活。 単なるル…

#小田急フェミサイドに抗議します――社会に蔓延る女性蔑視を直視せよ

2021年8月6日午後8時半ごろ、世田谷区の成城学園前駅付近の小田急線の車内で男が刃物を振り回し、20歳の女性大学生を含む10人が刃物で切り付けられるなどして重軽傷を負うという痛ましい事件が発生した。 事件から約一か月経った今、改めてこの事件の背景・…

チョ・ナムジュ『サハマンション』と堕胎をめぐる現状

近未来、超格差社会「タウン」の最下層に位置する人々が住む「サハマンション」。30年前の「蝶々暴動」とは何か? ディストピア都市国家最下層の人々が住む場所で、相互扶助を夢見る姿を描く。 韓国語版136万部、日本版22万部突破のベストセラー、『82年生…