女女の最高エッセイ『女ふたり、暮らしています』

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単なるルームメイトでも、恋人同士でもない。一人暮らしに孤独や不安を感じはじめたふたりは、尊敬できて気の合う相手を人生の「パートナー」に選んだ−。女ふたりと猫4匹の愉快な生活を綴る。

シングルでも結婚でもない、 女2猫4の愉快な生活。

単なるルームメイトでも、恋人同士でもない。
一人暮らしに孤独や不安を感じはじめたふたりは、尊敬できて気の合う相手を人生の「パートナー」に選んだ。

小説家チョン・セランも絶賛した韓国で話題の名作エッセイ、ついに日本上陸!

女ふたり、暮らしています。の通販/キム ハナ/ファン ソヌ - 紙の本:honto本の通販ストア

 

日本でも発売以降SNS等で話題沸騰だった本作、やっと読了。

今まで読んだエッセイ、いや今まで読んだ本全般の中でもトップ10には入るような、とても素敵な本だった。

 

韓国の人気コピーライターと元ファッション誌編集者が40代を目前にローンを組んでマンションを購入して始まった女2人+猫4匹の"分子家族"の日々が紡がれたエッセイ。

一般の家族制度や慣習にとらわれず、お互いへの純粋な好意・思いやりで成り立つ、二人のあたたかく充実した暮らしに、思わず歯ぎしりするほどの羨ましさを覚えた。

友達同士とはいえ、あくまで他人と同じ家で暮らすということに伴う難しさや葛藤も語っていて、それをどう克服したのかというところまで正直に記している点がとてもよかった。

 

随所に家の中の写真が載っており、二人が厳選した家具や本、雑貨があたたかい光に照らされている様子はまさに理想の生活そのもの。

40代になり、金銭的・精神的に余裕があり、自分の生活スタイルや好きなもの・ことがはっきりしているであろう二人。

お互いが好きなことについてはお金をかけてとことんこだわる一方、相方により提示される新たな価値観に対しても心を開いてどんどん挑戦していく。

同年代には結婚し、家事・育児や義実家への親孝行で忙殺されている女性も多い中、「あくまで自分たち自身の人生を心ゆくまで謳歌する」という姿勢の二人はとてもまぶしく見える。

 

作中でも政府の伝統的家族制度への固執を批判し、新たな家族間の提唱をしている彼女たちだが、週刊文春WOMAN 2021 夏号での松田青子さん(同じく家族制度に懐疑的で、事実婚で出産)とのインタビューでは、伝統的「女らしさ」による抑圧から解放され、自分らしい生き方を追求する二人の決意が読み取れる。

【週刊文春WOMAN 目次】小室佳代さん密着取材一年 小誌記者に語った息子の子育て、金銭トラブル、眞子さまへの尊敬/特集ジェンダー&フェミニズム/香取慎吾表紙画第10弾 2021年 夏号 | 週刊文春WOMAN | 文春オンライン

 

女性が社会的に期待されている役割を拒否した際、バッシングが発生してしまう世の中であるが、そんな中だからこそ、それぞれの女性が個々の小さな反抗の経験を共有したり、声を上げていくことで、女性同士が励ましあいゆるく連帯することが可能になるのだろう。

彼女たちのような生き方を選択する女性がもっともっと増えることを祈って。

 

 

キム・スジンさんによるイラストにも癒される…。

https://www.instagram.com/kimmsujin/?hl=ja

一家に一冊置いておきたい。そんな本。

★★★★★